2009年11月19日木曜日

産地見学 深谷

今週もまたまた産地見学です。 今回はネギで有名な、" 深谷 " です。              でもこれは、ネギ畑ではありません…。

市場では" LAユリ " と表示されます、すかしゆりの兄貴分のようなユリを植え付けた畑です。
" LA "とは、LONGIFLORUM(ロンギフロールム・鉄砲ユリの学名)とASIANTIC(アジアンティック・透かしユリ)の学名の頭文字をとっています。(ロスアンジェルスが原産というわけではありません)


深谷では多くのLAユリや、カサブランカに代表されるオリエンタルハイブリッドリリーの生産が盛んです。今回お邪魔しました、スリーエフクラブという生産グループでは、品質管理は言うまでもなく、「何月何日ころに、どのくらいの咲き方のものが欲しい」 などという、市場や花屋さんの細かな要望ごとに切り前(咲き加減)を変えて出荷することもできる、ということです。



こちらは、出荷を目前に控えたオリエンタルハイブリッドリリー。
葉もつぼみも、ハウスの中で見ている分には全く同じ品質のものが育っているように見えますが、実際収穫をして箱詰めをする段になると、花の数・向きなどの差や、葉のねじれ・葉焼けなどで品質にばらつきがあり、 決して均一ではないために、一定のレベルのものを出荷するためには、出荷予定数より数割多くの作付をし、出荷数を確保しているのだそうです。
生産するための球根は、ほとんどはオランダからの輸入です。球根の品質は良いので、ほっておいたら結構奔放に伸びてしまったり、人間の思うような育つ方をしてくれないのだそうです。時には水やりを控えたりなどしてイジめ、厳しく育てることで花の品質を保つのだそうです。


次に、チューリップのハウスを見学。

ユリのように、地面に直接植え付けているのかと思いきや、
なんだか箱の中にみっちりと植わっているのです!!


箱に植え付けての栽培で良い点は、一つのハウスを効率よく使用できること。
まずは右のように植え付け、一定に育ったら、次の箱にまた球根を植える。



片方で成長して収穫を迎えるころに、また次の箱に植え付ける。収穫を終えた箱にまた・・・というように、ローテーションでハウスを使用できる、収穫に際にも地面にかがんでの作業をしなくてよいので、楽に収穫ができる、などのメリットがあるのだそうです。


ここ深谷のチューリップ生産の歴史は古いですが、日々いろいろな生産方法に取り組んでいる、先進的な産地なのです。


今回は見学できませんでしたが、チューリップの水耕栽培などもしているのだそうです。


いずれ見てみたいものです。




今回も、見学は一か所ではなく、次に川越に向かいました。




こちらでは、スナップ・金魚草のハウスを見学です。




川越のスナップは、茎が太くて花落ちが少なく、花保ちがよいと、早くから他の生産地よりも高値で取引されるほどの、高い品質が自慢です。
決め手は、ここでも土づくり。
他の産地では、砂が多く、成長が早いが保ちがあまり良くない、という土地柄に対して、
川越では、桑畑 → 水田 → スナップ へと生産品を変えてきた過程で、荒木田土という粘土分の多い土がベースです。

そのため、根張りが容易にできないので成長があまり速くない。ただしその分じっくりと育つので、茎が太くなり、丈夫に育つのだということです。
人間も植物も、甘やかしては良いものはできない、という典型のようなお話でした。